第1章 総則

第1条 種犬選定制度の目的

体躯構成並びに性能において健全かつ優秀なる実用作業犬を作出するため、ドイツ・シェパード犬繁殖の向上と統一的な繁殖方法の促進を計ることを目的とする。

第2条 種犬選定判定の根本原則

種犬選定判定に対する指導原則は「完全なる実用作業犬的体躯構成を有し優れた性能を享有する犬」の作出を目的とする。従って選定種犬は、その大きさに及び体躯構成において全く実用作業犬たるシェパード犬種的体型を有していなくてはならない。
更に選定種犬は、あらゆる角度から見て、明確な性の表徴を示し、又全く健康にして優良な体質を有し重症な一般的な疾病あるいは神経病の羅病犬でないことはもちろんクル病の症状を示さない、また体質弱化、オーバーブリードでないもの、また遺伝的に見て、明らかに好ましくない影響を伝える系統に属さないもの、片方又は睾丸欠如の犬及び完全な褪色犬(鼻鏡黒色にしてほとんど純白なる犬)あるいは白子(鼻鏡の赤い白色の犬)股関節脱臼犬は選定種犬にはなれない。
真のシェパード犬的稟性及び優れた特性をもち又すでにCDJ以上の訓練資格を有している犬でなく てはならない。健康的にして適正な飼育管理こそ、好ましい諸特性を保つ基礎である。

第3条 種犬選定判定基準

選定申請犬は、次に述べる基準に従い、個々に検査される。検査はまず牡犬、次いで牝犬について行う。

  1. 犬名、登録番号、耳番号、訓練資格証明、並びにDNA登録証明手続きの確認、犬体各部の状態、各部機能の検査及び管理状態。
  2. 全体印象、稟性、健康、発育、神経、体力及び体質の検査
  3. 立態における体躯構成の判定
    全体判定は、次の諸点で行なう。
    全体型及び体構、比率、均整、表現及び品位、大きさ(体高、胸深、胸囲、体長及び体重の軽量)、骨の強さ、筋肉及び立態安定度、皮膚及被毛、毛色及び模様 (毛色及び模様は、繁殖者が一胎仔犬登録申請するに当たり、しばしば不明瞭に記載すことがあるから詳細を明記すること)
    部分判定は次の諸点について行なう。
    頭部の形状及びその強さ、口吻の構造、歯牙、頚部、キ甲、背腰部及び十字部、前胸及び下胸、肋骨、腹部、下腹部、生殖器、肩及び前肢、その位置及び角度、尻及び後肢、その位置及び角度、尾。
  4. 常歩及び速歩における歩容判定(紐付き要すれば紐無)肩の自由性、運歩、歩行と後駆との関係、推進状態、背腰部の伝道状態歩行中における腱、関節の働き、立態検査の際現れた各部欠点の補償及び強化。
  5. 性能鑑定は選考委員が行なう。更に血統、外貌、稟性及び性能上の諸点から見て、いかなる交配犬が適当であるかまた不適当であるかを見、記入する。
    検査の結果に基づき、受検犬は「選抜合格」「条件付選定合格」、あるいは「選定不合格」と判定される。
    選定不合格と判定された犬は、翌年再び種犬選定検査を受けることはできるが、同年度においてたの選定地で検査を受ける事は出来ない。
    重い一般疾病のために選定不合格となった犬が、再び完全に健康を回復した場合も同じ。

第4条 選定期

選定検査の時期はこれを定めない。

第5条 種犬選定受検許可条件

  1. JSV繁殖犬籍簿(JSZ)に登録された、牡犬は満2才以上にしてDNA登録証明手続きを済ませたもの。
    牝犬は満18ヶ月以上、満8才以下の犬の選定検査のため受検申請することができる。
    ただし原則として、交配後及び分娩後もっていなければならない。
    警戒繁殖犬は種犬選定を受けることはできない。
  2. 病犬、盲、襲犬及び選定受検犬でない犬は、選定場に搬入してはならない。
    搬入者は総て、JSVの諸規定を守る義務がある。又その犬がひきおこした損害に対しては、
    所有者または受検者自らその責を負うものとする。
  3. 選定検査を受ける者は、種犬選定規定を承認したものと見なす。
    なお受検犬が作業上の欠点、例えば、不妊症、脳及び神経系疾患、ヂステンパー後遺症、外見し難い眼疾(明盲)、耳鼻の疾患、襲、悪質咬癖のものは予めこれを申告する義務がある。
  4. 犬は立態及び運動中(紐付き及び紐なしの常歩及び速歩)において落ち着いた自然の姿勢を保って受検し、他人の触手及び歯牙検査に訓練してあること。この条件を充たさない犬は、その検査を後廻 しとし、又時には全く不合格とする場合がある。

第6条 選定合格と解除

検査の結果、繁殖犬として適当であると認められた選定合格犬は、選定種犬として登録される。
これらの犬を繁殖に使用する際は、第18条、第20条の注意事項を守らなくてはならない。
選定合格は、永久、その日から2年間、条件付合格の際は、単に1年間に限り有効とする。
この期間経過後は、再び選定検査を受けなければ選定種犬の資格を失う犬種標準に照らし、その欠陥が甚だしくないと認め、かつ種犬選定委員において繁殖上特に利用価値が大きいと認めた場合には、これを条件付合格とすることができる。
選定種犬にして、繁殖不適当(遺伝不良又は不充分あるいは繁殖不能出産率又は受胎率の不充分に、疾病、年齢関係)と認定された時、及び国外に売却された時は、選定解除を受け、選定種犬の資格を失う。

第7条 選定種犬名簿

選定種犬はJSVの「選定種犬名簿」に採録される。この名簿は各選定種犬の写真を添付することは特に望ましい。--鮮明にして修正しない写真を添付することは特に望ましい。--同時に当該犬をいかなる
繁殖に用いることが適当であるかについて示唆を与える。

第8条 種犬選定証書の交付

選定種犬に対しては、繁殖監理部から選定委員名並びに繁殖監理部長の署名のある種犬選定証書を交付する。

第9条 異議の申し立て

種犬選定委員の判定に対しては異議を申し立てることはできない。

第2章 種犬選定委員

第10条 選定委員

種犬選定検査は、選定委員が行なう。選定委員は、JSV審査委員又は、準審査員が行なう。

第11条 選定委員の構成

  1. 選定委員は選定助手を選任することができる。
  2. 選定助手は当該選定地又はその近隣に居住するJSV審査員、準審査員、審査員候補及び繁殖監理員の中から適任者を選任する。
  3. 種犬選定場所は公開し、特に準審査員及び審査員候補者らには積極的に参加方を指導し、研修の機会を与えるべく配慮する。
    又、準審査員及び審査員候補者らは、自らが進取的に参加し研修に励まなければならない。

第12条 選定委員の職務

  1. 種犬選定当日における担当選定委員は、選定表に照らし選任助手をよく指導し、その報告と自ら検査した選定評価の要点及び細目の結果により、合格、不合格、条件付合格等の最終的目的判定を下しその記録をする。
  2. 種犬選定当日の選定助手は、選定委員の指導に従い、犬体各部の状態、機能等を検査し、その結果を選定委員に報告する。
  3. 以上の検査は選定委員自らこれを行なうことがある。

第3章 受検申請その他

第13条 受検申請

種犬選定検査は、選定委員が行なう。選定委員は、JSV審査委員又は、準審査員が行なうものとする。
選定委員の所有犬が当該検査地において受検する時は、本人は選定委員はできない。

第14条 受検料及びその他の料金

  1. 受検申請者は、申請と同時に所定の料金を本部に支払わなくてはならない。
  2. 受検料金(ただし、受検料、選定登録料、DNA登録料、種犬選定証明書発行料金等全部を含む)及びその他の費用に関しては別に定める。

第15条 選定検査当日における申請書と必携品

  1. 血統書
  2. 訓練資格の証明書
  3. 当該犬の最近の写真

第16条 選定検査の準備

担当選定委員は予め繁殖監理部から提供された選定表に受検犬の必要事項を記入し、又、選定場所に携帯すべき諸器具を確認し整備しておかなければならない。

  1. 犬体測定尺
  2. 巻尺
  3. 体重秤
  4. 拳銃及び紙弾
  5. 受検犬の血統書又はそのコピー及び訓練資格証明書。

第4章 選定犬所有者の注意事項

第17条 選定種牡所有者の注意すべき事項

  1. 選定種牡犬の所有者は、種犬選定書に記載してある配偶犬等に関する種犬選定委員の注意事項を重視しなければならない。
  2. 選定種牡犬は、JSV繁殖犬籍簿(JSZ)に登録してあり、繁殖適齢期(満18ヶ月以上)に達し、健康にして繁殖上適当な牝犬だけに交配させる。繁殖上適当な牝犬とは、まず選定種牡犬を指す。
    (注 双方選定種犬である両親から生まれた仔犬は、選定繁殖犬と称し、桃色の血統書の交付を受け尊重される。)
  3. 選定種牡犬の交配回数は原則として、1年に60回を越えないこと。(交配使用初年度は、通常交配回数30回を越えないことが好ましい。)なお交配使用に際しては、その間適当な日数をおき、一周3回以上交配させないこと。
    上項の注意事項に著しく違反した場合には、繁殖監理部は、当該牡犬の選定種犬資格を取り消すことが ある。

第18条 交配簿

選定種犬の所有者は交配簿を作成する。交配簿には交配牝犬、交配日、出産日及び出産頭数を犬籍簿の様式に記載する。繁殖監理部あるいは登録部から諸問を受けた時、この交配簿に基づいて答申する。
選定種犬牝犬における交配及び所有者変更は10日間以内に繁殖監理部に申告しなくてはならない。

第19条 選定種牝犬所有者の注意すべき事項

選定種犬所有者は次の事項を重要しなければならない。

  1. 選定種犬の所有者は、種犬選定証書に記載してある配偶犬に関する選定委員の注意事項を重視しなくてはならない。
  2. 選定種牝犬はなるべく選定種牡犬に交配させるのがよい。
  3. 選定種牝犬所有者は遅くとも交配8日前に血統書及び選定証書(又はその写し)を提示して牡犬所有者に交配を申し出る、その際には、牝犬が健康にして伝染病(ヂステンパー、疥癬等)感染してない事及び以上のような疾病が全く自己の犬舎にないことの証明を付す。
  4. 母犬の授乳頭数は概ね6頭ぐらいが好ましく、6頭を越える時は、乳母犬の使用方をすすめる。
  5. 仔犬は生後通常8週までは繁殖者の飼育管理が好ましい。
    上項の諸規則に著しく違反した場合には、繁殖監理部は当該牝犬の選定種犬資格を取り消すことがある。

第20条 犬舎手簿

選定種牝犬所有者は、犬舎手簿を作成する。
犬舎手簿には、自己の犬舎にある牝犬及び牡犬の状況を犬籍簿様式に記載する。更に交配並びに出産日、出産頭数、遺伝状態、乳母犬使用の有無、飼育頭数及びその行き先を記録する。繁殖監理部又は登録部から諮問があった時は、この犬舎手簿に基づいて答申する。牝犬における交配及び所有者変更は、10日間以内に繁殖監理部に申告しなくてはならない。

付      則

  1. 本規則は昭和63年12月1日からこれを施行する。
  2. 本規定は一部改正し平成17年9月1日からこれを施行する。